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しあわせの種 11月

木々が色づきを深め、山々がまとう錦繍が心の琴線にふれる。 かつてアメリカに住んでいた頃、夫が山々の紅葉を見て
「日本の紅葉より素晴らしい。山全体がまっ黄、まっ赤。きれいや!!
日本の紅葉はくすみがあるけれど、まるで絵の具で塗ったようだ。」
と感嘆の声を上げました。

透き通る青い空に絵の具の原色で描いたような混じりけのない黄や赤の山々は
ため息が出るほどの美しさでした。
日本に帰った後、京都で紅葉を見た時これもまた感嘆の声。
一つの山には多種類の木々があるので、赤といっても絵の具の原色のような同じ赤ではないのです。
朱色、茜色,紅葉色、柿色、赤朽葉などの微妙に違う赤や、
山吹色、朽葉色、黄朽葉、黄金色などの黄が溶け合い一つの風景を創り出します。

陽光の光は一枚一枚の葉を通して降り注ぎ、木々の下は菩薩の世界。
湿り気のある日本の空間は自然の光と色を繊細に演出してくれるのです。
そしてこの風情には何かあわれを感じます。

    色鮮やかに有終の美を飾ると潔く風に舞い、大地に帰り、次なるいのちに繋ぐ。
木々は凍てつく寒さの中、その大地の養分で根を巡らせ春に備える。
日本の自然の中には、その奥にある何かを感じさせてくれる力があるようです。

私たちの祖先はそれを感じ、染織物、食器、掛け軸など生活の中に取り入れ、
文化となり精神性へと昇華しました。

目に見える美しさ、素晴らしさ、その奥にある地面の下に隠れている根の部分を
しっかり捉えたものが日本文化だと感じます。
私達って本当に素晴らしい国に生まれたのですね。

Sally日記