柔らかい萌黄色だった木々の緑が、この数週間でまぶしい光を放つ新緑となり、肉眼でも伸びる姿が捉えれるのではないかと思われるほど、もこもこと成長しています。 お日様のエネルギーから自らの輝きを創造しているこの自然の営みに、思わず深呼吸をしてこの宇宙に満る氣を吸収したくなりますね。 東洋哲学では、自然界の万物を五行理論によって分類しています。その中で、春は東から風が起こり、風は木を育て、木は酸味を生む。この酸味は五臓のうち肝へ走りやすく、その肝は筋を生むといわれています。
春は臓器の中で肝が活発に働く季節です。動物の世界では、冬眠の間に溜まっていた不要物を排出、解毒し活発に活動するためです。
『肝胆相照らす」のことわざがありますが、これは互いに心の底まで打ち明けて親しく付き合うの意味ですが、
これは肝臓と胆嚢の関係からきています。どちらも生命を支える大切な臓器ですが肝臓で作られた胆汁を胆嚢でためて、必要な時に出すからです。西洋医学ではあまり胆汁のことは重要視されていませんが、東洋医学では胆汁にはとても重きを置いています。私も最近漢方処方する中で、牛胆を処方に加えることで胆汁が良く出るようになり治療効果がぐっとアップした症例は多数経験しました。
「胆力」があるとかないとか言いますよね。度胸、きもったまのことです。肝臓も胆嚢も精神的な事にも深く係わっているのです。
「馬鹿だね、あんたは・・・・、能なし!」
いやいや頭が悪いのではなく、元気がなくなり、働くのもおっくう、考えるのもめんどくさい、働きたくとも身体がいうことをきかない、考えたくとも考えれない、ついに能なしのレッテルをはられている人があるかもしれません。このような方は、胆汁やホルモンの分泌が少ないことが多いのです。
ところで、馬と鹿と書いてなぜバカというのでしょう?
実は馬と鹿に共通するのが、胆汁をしまっておく袋、胆嚢がない嚢なし(能なし)です。
栄養価値のある脂肪をとっても、胆汁が十分にないと乳化吸収が十分でなく、いざという時の頑張りができません。
また胆汁には毒消しの力があります。口から入った添加物、野菜のアク(アルカロイドという毒)
アルコール、たばこ等のいろいろな毒を胆汁で消しています。また体内でできた疲労物質も胆汁で解毒します。胆汁が不足すれば毒が体内に残り、考えが鈍くなり、能なしになります。
第三の胆汁の働きは、腸の動きを良くし大便をスムーズに排泄させる力があります。胆汁不足で便秘すれば自家中毒で体内に毒素がまわります。そうなると、何もしたくなくなり、イライラします。能なし、やっかい者になりかねません。
最後に、胆汁は悪い細菌を殺します。悪玉菌の増殖を抑えるので、気持ちの良い排便を促します。
大便が黒くてくさい場合は胆汁不足が考えられます。悪玉菌の生成を抑制することで善玉菌の働きが活発になれば、善玉菌が私たちの身体に必要な栄養物を生産してくれます。腸脳相関といわれるものに結びつきます。腸がきれいになれば頭脳明晰。
「嚢なし馬」は胆汁が少ないので疲れやすく汗かきです。汗を出して毒素を捨てています。汗の出にくい犬は毒素を捨てるのにいい胆汁を持っています。冬眠穴居の蛇、カエル、熊などの胆汁もすこぶる良質です。
胆汁の分泌の少ない方、能なしになりたくない方は胆汁の分泌を盛んにする牛胆エキスを是非補足ください。
病院の肝臓病に使われる「ウルソ」は合成されたデオキシコール酸のみです。牛胆に入っているのはグリコデオキシコール酸、グリココール酸、タウロデオキシコール酸、タウロコール酸等の複数の人間の胆汁の組成割合にとても良く似たものです。以前病院のウルソで吐き気の副作用があったお客様に牛胆製剤の「オルスビー」を服用頂き、とても好評でしたが、人工のものではなく人間の胆汁組成によく似た牛胆だからですね。
漢方医学の五行説の理論に「肝は怒りをつかさどり、怒りは肝を損なう」と説かれています。つまり肝が弱いと怒りっぽくなり、逆にいつも怒ったり、イライラしていると肝臓を悪くしてしまいます。病は気からといいます。気持ちの持ちよう、心模様で病気になるということです。
人間の体は体内より自然にわいてくる消化液(外分泌液)とかホルモン(内分泌液)によって動かされています。これらの分泌液は気持ち、心模様で分泌の状態が変わってきます。怒ってイライラすると肝臓に関係のあるホルモン、消化液の分泌が狂うので肝臓を悪くし、胆汁の分泌が悪くなり、胆嚢がないのと同じ状態になり能なしになりかねません。
喜怒哀楽の感情は五臓六腑に影響を及ぼします。心を透明にして感情をあちらこちらに引っ張られる事なく、いつもゆったりとした気持ちで、身体も心もともに健康でありたいものです。