アレルギー相談
アトピーでステロイドを使っていますがだんだん強いものになっています。
アトピー性皮膚炎(湿疹・皮膚炎)は、東洋医学では体内のバランスの乱れが皮膚に現れたものと考えます。特に、湿熱(しつねつ)や血熱(けつねつ)、瘀血(おけつ)、脾虚(ひきょ)、腎虚(じんきょ)などが関係しているとされ、それぞれのタイプに応じた治療を行います。
また『皮膚は腸の鏡』であり、皮膚を治すために最も大切な事は、腸の状態を良くすることです。漢方薬で体内のバランスを整えると同時に、食生活の改善が最大のカギとなります。
症状がなかなか改善しない場合は、甘い物、油っこい物、インスタント食品、冷たい飲み物を控え、野菜を増やすなど、食生活についても見直してみましょう。
花粉症がひどく毎年つらいです。
花粉症は、免疫細胞の暴走です。東洋医学では花粉症を『水毒(すいどく)』とみています。
水毒とは:体内の血液以外の水分の事を、東洋医学では水(すい)と呼んでいて、この水が身体の中で潤滑に巡っていない状態のことを水毒といいます。
【原因】
①胃腸の働きが悪く、胃腸に余分な水分が停滞
②身体の中で下水道の働きをしているリンパ管が目詰まりしていて、水分があふれ出した状態
リンパ管は身体の中に張り巡らされていて、細胞からの不要な水分やタンパク質・脂質等の異物を回収します。老廃物はリンパ管の中で免疫細胞のお掃除屋【白血球】に分解され、きれいになり鎖骨下の静脈に合流します。
トランス脂肪酸、動物性油脂、甘いものを摂りすぎる食生活をしていると、老廃物が掃除されにくく、リンパ管が目詰まりしてしまいます。
花粉症に対する漢方薬には、『症状を抑える』ものと『根本的な体質改善をする』ものとがあります。花粉症は、肺(はい)、脾(ひ)、腎(じん)の正氣不足なので、それらを補う必要があります。また、アレルギーと腸内細菌は関連がありますので、善玉菌を増やす健康食品も症状緩和に役立ちます。
症状を抑えるには食養生も大切です。日頃から冷たいアイスクリームや甘いもの、特に洋菓子は控えてください。
<免疫を整えてくれる食材>
肺を強める: 白い食べ物(れんこん、白きくらげ、大根、山芋)
脾を強める: かぼちゃ、さつまいも、発酵食品
腎を補う:黒い食べ物(黒ごま、黒豆、黒きくらげ)
<避けて欲しい食べ物>
・アイスクリーム・洋菓子・インスタント食品・揚げ物等
<摂ってほしい食べ物>
・ふろふき大根・切り干し大根・レンコン等の根菜類・味噌汁・ぬか漬け
咳が続き、病院で喘息と言われました。良い漢方薬はありますか?
漢方薬は喘息にも有効で、数多くの処方があります。体質と症状に合わせて服用することが最も大切です。
東洋医学では喘息(ぜんそく)は 「痰湿(たんしつ)」 や 「気虚(ききょ)」 などの体質的な問題と、「外邪(がいじゃ)」(風邪や寒邪)による影響が重なって起こると考えられています。
喘息は大きく2つのタイプに分けられます。
① 実証タイプ(発作時・急性期)
冷え(寒邪)が肺を攻撃し、気管支が収縮し体内の「痰」が肺にたまり、気道をふさぐ事で胸が苦しく、ゼーゼー・ヒューヒューという音がし、痰は多く、粘り気があり、気管支が詰まった感じがする。
実証タイプは 「寒邪」を追い出し、痰を取り除き 肺の氣の巡りを改善する処方で良くなります。
② 虚証タイプ(慢性・体質改善)
「肺」の力が弱く外邪に対抗できない、「腎」が弱く呼吸のコントロールがうまくいかない、「脾」も弱く氣(エネルギー)が作れないため免疫力が低く、風邪をひきやすく治りにくい。すぐに息切れする、体が冷えやすく、疲れやすい等。
虚証タイプは、肺・腎・脾を強化して、根本的に改善する処方で良くなります。
症状によって漢方薬を使い分けるとは
漢方薬は「体質」や「症状」に応じて細かく使い分けられるのが特徴で、西洋医学のように「病名」に対して一律に処方されるものとは異なります。
体質とは?
漢方における「体質」は、その人が持って生まれた性質や、日々の生活習慣によって形成された体の傾向のことを指します。
例えば:
- 虚(きょ)と実(じつ)
→ 虚:体力がない、冷えやすい、疲れやすいタイプ
→ 実:体力がある、熱がこもりやすい、ストレスがたまりやすいタイプ - 寒(かん)と熱(ねつ)
→ 寒:冷え症、寒がり、お腹を壊しやすい
→ 熱:のぼせ、口が渇く、イライラしやすい - 気・血・水のバランス
→ 気虚:元気が出ない、息切れ、食欲不振
→ 血虚:貧血っぽい、めまい、不眠、肌の乾燥
→ 水滞(水毒):むくみ、めまい、関節痛、痰が多い
原因によっての使い分け
同じ症状を訴えていても、原因や体質が異なれば、処方される漢方薬も違います。
例:不眠のケース
- ストレスが原因でイライラして眠れない
→ 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
- 神経が高ぶって不安・動悸もある
→加味逍遥散(かみしょうようさん)
- 血が不足して眠れない
→酸棗仁湯(さんそうにんとう)
例:冷えのケース
- 全身が冷えて疲れやすい
→八味地黄丸(はちみじおうがん)
- お腹だけが冷える、月経痛がある
→当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
なぜ体質によって使い分けるの?
漢方は「根本の原因」と「今の症状」を一緒に整えることを目的としているため、体の内側から調整していく必要があります。そのため、一人ひとりの「全体のバランス」を見ながら、オーダーメイドのように薬を選んでいくことが大切です。
【アレルギー総論のブログ】
東洋医学では、アレルギーの原因を「体質の乱れ」や「気・血・水のバランスの崩れ」と考え、根本的な体質改善を目的とした治療を行います。アトピーや花粉症、喘息などのアレルギーは、体内の「湿(余分な水分)」「熱(炎症)」「瘀血(血流の滞り)」が関係しているとされ、それぞれに応じた治療法があります。
アレルギーの原因
①氣・血・水のバランスの乱れ
氣虚(エネルギー不足)になると、免疫力が低下し外的刺激に過剰に反応します。また氣の流れが滞る(氣滞)では体内の調和がとれず、アレルギー反応を引き起こすことがあります。血流の滞り(瘀血)は炎症を慢性化し、症状が長引くことがあります。余分な水分と熱の停滞(湿熱)によりアトピー性皮膚炎や鼻炎などの炎症を引き起こすことがあります。
②脾の不調
東洋医学では、脾は「後天の元氣」をつくりだす大事な臓器とされ、消化吸収を担っています。脾が弱ると、体内の湿気や痰が溜まりやすく、これがアレルギーの原因になることがあります。特に、湿邪(しつじゃ)という病理的な湿気の影響を受けると、アレルギー症状が引き起こされやすくなります。
③肺の不調
肺は「氣」を司る臓器としても知られ、呼吸器系や皮膚に関わる役割を果たします。肺の機能が低下すると、外界との関わりがうまく調整されず、アレルギー反応を引き起こす原因になることがあります。特に、乾燥や寒冷、湿気などの外的要因に対して敏感になります。
④肝の不調
肝は「氣の流れ」を調整する役割を果たしており、肝の氣が滞ると、身体の免疫系が過剰に反応することがあります。ストレスや感情の不安定が肝に影響を与え、アレルギー症状を引き起こすことがあります。
アレルギーの治療法
東洋医学におけるアレルギー治療は、身体全体のバランスを整え、免疫系を正常に働かせることを目的とします。
漢方薬
漢方薬は、アレルギーの原因に合わせて個別に処方されます。例えば、湿熱邪が原因の場合は「利水剤」や「清熱剤」を、肝の不調が原因の場合は「疏肝剤」や「理氣剤」を使うことがあります。また、免疫力を高めるために「補氣剤」や「補血剤」が処方されることもあります。アレルギー症状だけではなく、体質に適した漢方薬を使うことが重要です。
食事療法
東洋医学では、食事が身体の健康に大きく影響を与えるとされています。アレルギーがある場合は、身体を温める食材(例:ショウガ、ニンニクなど)を摂取し、冷たい食材や湿気を引き起こす食材(例:乳製品、アイスクリーム、油っこい食事など)を避けましょう。また、消化を助けるために、軽くて消化しやすい食事がおすすめです。
生活習慣の改善
ストレスは肝の不調を引き起こすため、リラックス法や適度な運動がおすすめです。また、十分な睡眠を取ることや、環境の変化(乾燥や湿度、温度差など)に注意してください。
温熱療法
冷えが原因の場合、温熱療法(例:腹部や手足を温める)を行うことが効果的です。身体を温めることで、氣の流れや血液循環が改善され、アレルギー反応が緩和されることがあります。