龍雲堂Sally薬房

columnしあわせの種

いのちの祝福-「ありがとう」で迎える最期- 令和8年4月 152号

3月初め、クロレラ工業さんの研修会で、緩和ケア医の 萬田緑平先生のご講演を拝聴しました。

現代医療では、病院で最期を迎えることが一般的です。しかし先生は、チューブにつながれながら最期まで病と闘うのではなく、住み慣れた自宅に戻り、「病を受け入れて生きる」という選択を支える医療を実践されています。

そこでは、ご家族が無理に生活を変えるのではなく、それぞれの日常を大切にしながら支え合う関係が育まれます。

介護を受ける側も、支える側も、感謝に満たされ、「ありがとう、ありがとう」と言葉を交わしながら最期の時を迎える。そのお話は、深い感動に満ちていました。

もちろん、病と最後まで闘うことも尊い選択です。

受け入れることもまた、尊い選択です。

大切なのは、「自分はどう生きたいのか」。

その想いを大切にすることではないでしょうか。

どの道を選んだとしても、本人もご家族も、「ありがとう」という想いを残してその時を迎えられたらと願います。

限られた時間

私自身、年齢を重ねるにつれ、「限られた時間」を意識するようになりました。

今日一日をどう生きるかと意気込む日もあれば、気がつけば何となく過ごしてしまう日もあります。

それでも、「今日といういのち」を意識するようになってから、家族や周りの人への向き合い方が変わり、日々の充実感が少しずつ増しているのを感じています。

やり切った人生

私の父は、82歳で亡くなりました。

最期の頃、病室で二人きりになった時、父は静かにこう語りました。

「よく働いた。十分やりきった。」
「夫を助け、兄と仲良くし、母の面倒を頼む」
「思い残すことは何もない」
「ただ一つだけ――宙輝が大学生になるまで生きていたかったな」

父はこれまで一度も、私に「ああしなさい、こうしなさい」と言ったことがありません。

私のやりたいことをすべて受け入れ、ただ静かに見守ってくれる存在でした。

その背中で生き方を教えてくれた父。

今もなお、無言で見守ってくれているように感じます。

「私もやり切った」と言える人生にするからね、お父さん。

人の本質は肉体でも心でもなく、光

私は幼い頃から、目に見えない「氣」のようなものを感じ、その探求の中で、精神世界から量子物理学まで様々な本を読み、ヨガも40年近く続けてきました。

ヨガでは、人の本質は肉体でも心でもなく、真我(霊・魂) であると捉えます。

人生は、心という御者が導く馬車の旅。身体はその馬車であり、そこに真我(霊・魂)が乗っています。

この魂は宇宙の大きな生命とつながっており、死とは、その魂が肉体を離れ、再び宇宙の源へと還っていくこと

それは消滅ではなく、大きな存在へと溶け合うことなのです。

そしてまた、新たな身体という乗り物を得て、人生という旅を続けていきます。

それはまるで、海の水が蒸発し、雲となり、雨となって大地に降り、川となって再び海へ還るようなもの。

一滴の水が、私たち一人ひとりの存在です。

東洋医学では、宇宙を「大宇宙」、人を「小宇宙」といいます。

私たちの中には、宇宙と同じエネルギーと叡智が宿っています。

現代の量子物理学においても、物質の最小単位である素粒子は、物質にもエネルギーにもなりうる
存在であることが分かってきました。

目に見えない世界は、決して空想ではなく、少しずつ科学によっても解き明かされつつあります。

私たちの身体は原子からできていて、その原子は素粒子からできています。

素粒子の中の光子はある時は光の粒として輝きある時はエネルギーとなって見えなくなるのです。

つまり私たちは光を放つ存在なのです。

宇宙と繋がる

しかし、その力を引き出すことは簡単ではありません。

私たちの心は、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)からの刺激に反応し、常に揺れ動いています。

だからこそ、その感覚をどう整えるかが大切になります。

私が深く信頼しているのが、中村天風の教えです。この教えは、松下幸之助氏や稲盛和夫氏など、多くの経営者にも影響を与えてきました。大谷翔平選手も実践しています。

小学生のころからお父さまからこの教えを受けた愛しとーとの岩本初恵さんの発信も、日々の大きな支えとなっています。

さらに、仏教の学びとして立花大敬先生の著書も、日常の中での気づきを深めてくれます。

これらの学びは、まるでワインのように、時間とともにゆっくりと熟成されていくものだと感じています。

日々学び、実践し、人生を少しずつ磨いていく。

そうして「人生というワイン」を芳醇にしていきたいものです。

支え合い、つながり合う

私たち一人ひとりは、森の中の一本の樹のような存在です。

大地から養分を吸い上げ、空へ向かって伸びながら、実を結び、その恵みを周りと分かち合う。

森では、木々は根を通してつながり、互いに支え合っているといわれています。

人もまた、同じ存在なのかもしれません。

それぞれがしっかりと立ちながら、支え合い、つながり合う。

そんな豊かな「森」を育てていきたいものです。

宇宙の光の海から生まれた一滴のいのちが、この人生という舞台を、どのように輝かせていくのか。

その答えは、「今日」という一日の中にあるのかもしれません。

読みやすい中村天風の本 『運命を拓く』 講談社
岩本初恵:「株式会社 愛しとーと」の代表取締役兼 CEO
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立花大敬『しあわせ通信』1~9集 トータルヘルスデザイン社で購入できます

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