照りつける太陽の陽射しは、大地からの熱となり上昇し、上空では積乱雲となり、夕立ちや雷となり再び大地に降り注ぎます。ダイナミックな天と地の交流です。木々も盛んに水を吸い上げ、強い日差しの中で光合成をし、緑を深くし枝葉を猛烈な勢いで伸ばしています。私たち人間は、今年のこの猛暑にいささか閉口してしまいそうになりますが、大自然を見習い秋の収穫(夢や希望)に向かってこの暑さをエネルギーに変え、ときめきながら進みましょう。東洋医学の五行論で、夏は血液循環の原動力の「心」と食べ物から血を造る「小腸」の季節と考えています。そして「心」の司る感情が「喜び」「笑い」「ときめき」です。今年の夏は暑いパッションで進みましょう。
異常な暑さのためか、冷たい物や水分の取り過ぎでお腹をこわしたり、むくみの相談が増えてきました。今年は梅雨前後にめまいの相談も多かったです。これらは、東洋医学でいう、氣・血・水の水の異常です。むくみもめまいも西洋医学の治療では利尿剤を使います。腎臓で血液が濾過され尿の元となる原尿がつくられ膀胱に行くまでの間にナトリウムや、カリウムと一緒に水分が再吸収されます。利尿薬はこの水分が再吸収されるのを邪魔する事で、体の水分を減少させます。身体の中に余分な水分があろうがなかろうが、どんどん身体から水分を抜いてゆきます。身体の中がじめじめの時は良いかもしれませんが、からっとしているのに抜いてゆくと干からびてしまいますね。赤ちゃんは「瑞々しく」、お年寄りは「しわしわ」で水分が少ないですね。
一方、漢方では、体の一部がむくんでいる人、花粉症で鼻水や涙が止まらないのに皮膚はガサガサの人、唾液が出ず食べ物が呑み込みにくい高齢者、ドライアイ等、体内の水の分布状態が異常である時、「水毒」とみなし、「利水剤」を使います。利水剤は胃腸の水分をはかすもの、乾燥材の様な働きをするもの、心臓の働きを強め、2次的に腎臓の血流を高める事で、尿量を増やすもの、腎臓にはたらくもの、皮膚の水分代謝を良くするものなどがあります。このように特徴はありますが、一か所の臓器や組織にはたらくのではなく、多角的に作用し水分のアンバランスを整える方向にはたらくので、体の中に余分な水分がない時は、水分を出さず、保水します。
干からびさせるのではなく、潤わせると言う表現がぴったりです。
利水剤を病状により何種類か組み合わせて使います。
利水剤の生薬には
猪苓(チョレイ) 茯苓(ブクリョウ) 白朮(ビャクジツ)蒼朮(ソウジツ)半夏(ハンゲ)沢瀉(タクシャ)
黄耆(オウギ) ヨクイニン 麻黄(マオウ)
ところで、むくみの原因は?
1)若い女性で多いのが血の異常==貧血、血行不良 水滞(生理前後のむくみもこれです)
原因である血行の流れを良くする生薬を併用します
2)飲み過ぎ・食べ過ぎ=消化不良で胃の中に水分が停滞(お腹がちゃぽちゃぽした状態)
冷たい物==胃腸の動きが悪くなり消化、水分吸収が低下
特にアイスクリーム等の乳製品は乳脂肪が腸のリンパ管に目詰まりしやすいので注意=アレルギーの原因にもなります
3)高齢者または虚弱者で心臓の働きが今一つで、腎の血流少ない==尿量減少
4)腎の働き低下、肝の働き低下