関東の薬局の先生方から講演の依頼があり、先日東京に行ってきました。130人程のとても熱心な先生方で講演後の質問も活発にして頂き、私にとっても良い刺激となりました。 私の講演後、自主上映映画『いただきます』の舞台となった福岡の高取保育園の園長先生である松枝智子先生のご講演がありました。
高取保育園は、「食は命をつくる」という考えを基盤にし、玄米和食の給食を通して、日本人が培ってきた暮らしや文化を保育の原点に据えられています。
改めて、食を通して生活のあり方を見直す良いきっかけとなりましたのでご紹介します。
お正月の祝い箸は両端が細くなっていますね。どうしてかご存知ですか?
一つは神様用、もう一つは私達が使う側だそうです。箸は橋渡し。お箸は神様と私たちの橋渡し。お箸の起源は、神前にお供え物をする時、1本の竹を曲げてお供え物を挟んだそうです。
身体は食べ物からつくられ、また仕事をしたり、遊んだり、お喋りしたりするエネルギーもまた食べ物から頂いています。
日本人は自然の存在の中に神様を見出し、八百万の神としてあがめてきました。食べ物を頂きながら食べ物のいのちが私たちの中で輝くために、お箸で橋渡しをしてもらって、私たち自身が神様の分身となり何かお役に立てますようにと。何だか力が湧いてきます。
忙しい時代で効率を求められるようになり、食事もすばやく簡単にきれいに出来るものが人気です。スーパーでは、食材がすぐ調理できるように加工されたものや、調味料を混ぜ合わせた料理の素、電子レンジを使った料理も人気です。加工すればするほど、食材の持つ力(エネルギー)は失われます。特に科学的な添加物や、漂白剤等を入れると植物が持つエネルギーが失われるばかりでなく、害になる場合もあります。
食はお米からパン、麺類の小麦に、おかずのタンパク質は豆から乳製品、お肉の割合が多くなり、カロリーは過分ですが、ビタミン・ミネラル不足で肥満、糖尿、アトピーや鼻炎などのアレルギー疾患が急増しています。また薬房では子宝相談が増えていますが、子どもをつくるという考え方です。「子供は授かるものです」男性の精子の量が少なかったり、運動率が悪かったり、女性のホルモンバランスが良くなかったり、卵子の状態が悪かったり等さまざまですが、急がばまわれ、まず当たり前の生活全般を整え、食事も和食中心にし、その上で漢方薬や、バイオリンク製品を入れて補い体を整えると不思議と授かります
“病気をしないから健康”ではありません。健康には幅広いレベルがあります。あなたの身体の約40兆の細胞が活き活きとして100%元気でしょうか?それとも病気にはなっていないけれど、お疲れの細胞が増えていませんか?
身体は心に影響しまた心は身体に影響します。身体が喜ぶ食事といつも心を朗らかに保ちたいものです。
NPO法人「食品と暮らしの安全基金」で主に加工食品のミネラル成分や食品添加物「リン酸塩」を調査し、全国各地で「現代の食事はミネラル不足」「食品添加物ワーストランキング」等の講演をなさっている中戸川 貢先生をお招きします。2月17日(土)午後2時から4時まで青年センターで、「身体が喜ぶ食べ物選び』の講演頂きます。
食べ物選びは人生選びです。是非お越しください。
高取保育園の前園長 西先生の語録
「食は命をつくる」
生まれた土地の食物を食べ続け、それを何万年も続けてきた結果が、今の私たちの身体です。
日本人の身体は、その土地で採れた伝統的なものを食べて暮らすときに、最も健康でいられるようにできているのです。
この考え方を「身土不二」といいます。
戦前はアトピーやアレルギーの子はほとんどいませんでした。
日本は戦後学校給食が始まったのを境に、食生活が極端に西欧化しました。
さらに日本人の食生活が大きく変化したのは、高度経済成長期のことでした。
このころを境に「食」に大きな変化がありました。
炭水化物摂取の主流が、お米から小麦に。
タンパク質は魚・大豆から牛乳・肉へ。
おかずは、野菜から脂肪分の多いものへ。
調味料は、醤油・味噌から、砂糖・ソース・マヨネーズへ。
家族食から、外食へ。
急激な食の変化は、弱いこどもたちに一番に跳ね返ってきました。
アトピー、アレルギーの原因のひとつに食があります。
玄米和食の給食によって、毎年こどもたちのアレルギーが改善されています。
当園に通わせるために引っ越して来られる家庭も珍しくありません。
もう一度、日本人の当たり前の暮らし、当たり前の食事に帰ろう、保育の原点に立ち返り、命のいとなみを取り戻そう、
そんな想いで、玄米和食の給食を続けてきております。
「ほんものの味噌」
市販の味噌は添加物を使って20日程度で作ってしまいます。
大量生産のため加熱処理されると、発酵が止まってしまいます。
本物の味噌は生きた酵母が呼吸しています。
高取では、日本でも数少ない種麹屋である「椛島商店」の麹を使い、毎月100キロの味噌をこどもたち自身が作ります。
自分たちで作ったものを食べることで、食に深い関心が生まれます。
人間は経験したことしか記憶に残りません。
そうしてできたみそ汁のおいしさは格別です。
昔ながらの本当のお味噌のおいしさを、こどもたちの身体で知ってほしいのです。
「百回かんで食べましょう」
給食の時間は 食事のマナーを身につける時間でもあります。
食べる姿勢を整えることが、「食べ物のいのちに感謝する気持ち」につながっていきます。
玄米をよく吸収するためにも、食事の前に「よく噛めよのうた」を歌ってから、よく噛んで給食をいただきます。
「丸ごといただく」
「一物全体」とは、食材を丸ごと食べることで、すべての栄養素をとりいれることができるという
マクロビオティックの考え方です。
その根底にあるのは「大切ないのちを丸ごといただく」、という感謝の心です。
「いくら身体に良くても、おいしくないと続かない」
こどもの舌は繊細です、小さい子ほどおいしいものがわかるのです。
マヨネーズ、ケチャップ、ソースは使いません。
肉のうまみや、化学調味料に頼らない、素材本来のおいしさを、こどもたちの味覚形成時に伝えたいのです。
「空腹こそ、最高の調味料です」
高取では、こどもたちは裸足で園庭を駆け回ります。
こどもは風の子、子どもは野山を裸足で駆け回るのが本来の自然な姿。
駆け回らせないのは、自然に反したことなのです。
運動したこどもたちは、食欲旺盛です。給食の食べ残しは、ほとんどゼロ。
空腹こそ、最高の調味料なのです。
効率よく、早く結果が出るもの、目に見えるものが優先される昨今。少し生活を見直すヒントを頂いたような気がします。
目先の事に捉われず、しっかりと大地に根を張って、自然の営みをお手本に生きてゆきたいものです。