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しあわせの種 11月

美しい花を静かに眺めていると、花の中に妖精が住んでいる
っていわれても信じてしまいたくなりませんか?
幼稚園か小学生の頃、ハイクラウンチョコレートの箱の中におまけとして
花の妖精のカードが入っていました。植物が大好きな私は
初めてこれを見た時、花同士は妖精を介して会話していると思い、
学校の帰り道、自分が妖精になった気分で道ばたの草や花に
話しかけていました。夢中になっていたので、人の気配も分からず、
ちょっと恥ずかしい思いを何度もしました。

高知が誇る世界的な植物学者牧野富太郎の植物図をご覧になられたことがありますか?
今、牧野植物園で特別展をやっているので是非ご覧ください。没後60年を前に、
世界三大植物園の一つであるイギリスのキューガーデンや在英日本大使館でも
牧野博士の植物画が紹介されています。緻密で繊細に描かれ、まるで花や葉が呼吸をしている
かのような立体感のある植物図を見ると、博士も小さな小さな妖精になって植物と対話なさったのだということが
よく分かっていただけるかと思います。

  よく漢方薬と民間薬の違いと聞かれることがあります。
民間薬はドクダミ、ゲンノショウコウ、ウコン等の様に1種類で、難しい制限や規則もあまりなく、
手軽に使われている生薬類です。症状や、体質にピッタリ合えば、よく効きますが、
あまり効果がない場合も多々あります。植物にも個性があり私達が飲むと体を冷すもの、
温めるもの等があります。主に暖かい地方で育ったものは身体を冷します。以前ゴーヤ茶が流行しましたが、
もともとゴーヤは夏沖縄で採れるもの。高齢者が冬場も身体に良いからと飲むものではないですね。
健康のためと思って飲んでいるお茶等体質に合っているかどうかご心配な方は遠慮なくご相談下さい。
民間薬、お茶、食べ物等健康維持のためなら、その土地で育ったものが一番良いですね。このことを身土不二といいます。

 漢方薬は生薬のいくつかの種類を組み合わせます。組み合わせる種類、分量、服用の時間や方法に
規則があります。漢方薬を構成しているものが生薬です。中国最古の薬物書「神農本草経」には
365種類の生薬が収められていて、それぞれ上薬、中薬、下薬に分類されています。
上薬に属する120種は、無毒で、いのちを養います。多量または長期にわたって服用しても
人体に害はありません。不老長寿を願うものはこれを用います。
中薬に属する120種は、上薬を助ける作用を持ち、体の自然治癒力を養います。
有毒なものと無毒なものがあり、うまく加減して用います。病気の進行を阻止し、体が弱り衰えた状態の時に用います。

下薬に属する125種は上薬や、中薬を補佐する作用をもち、病気を治療します。
毒性が強く、長く服用してはいけません。病気の原因となっている邪毒を除き、鬱積しているものを破り散らす作用があり、積極的な治療にはこれを用います。

生薬には人間と同じように個性があり、これらをバランスよく組み合わせる事でそれぞれの効果を引出し、
副作用となるものを無くすのです。下薬配合の時は必ずその生薬の悪い面が出ないようにしてくれる、
生薬が配合されます。西洋薬の場合の副作用を抑えるのに、例えば抗生物質と共に胃腸薬が出ます。
これは抗生物質が胃腸を荒らすからです。荒らした胃腸を治す目的で、胃腸薬が必要なのです。
一方漢方薬の場合、摩訶不思議な事に下薬と共に配合された生薬により、その下薬の悪さをする成分が
煎じた際、溶け出さないような働きをするのです。まるで人間社会のようですね。
悪がき同士が集まると悪いことをするのに、ある集団の中に悪がきが入ると、
悪がきのエネルギーの出る方向性が変わり、そのパワーは良き方向のエネルギーとして使われる。
それと同じことが漢方薬の世界でも、生薬の組み合わせで個々の特性を生かしたり、
互いに高め合ったり、あるいは欠点を補いあったり。やはり自然の働きは素晴らしいですね。
それと同時にこの組み合わせを考え出した先人の知恵には驚愕です。
私達も自然の流れに添って、より良く健康バリバリはたらきましょう。
はたらくは側を楽にすること。

Sally日記